「え?○○くん料理できるの??すごーい!」

 

えー、料理男子なんて言葉がありましたけどね。これもう死語って感じがしますね。ひと昔前までは料理する男子なんて本当にチヤホヤされたもんです。趣味は料理なんて言ったらね、おおおっと場が盛り上がったんです。得意料理はパスタなんて言ったらね、そりゃもうモテたもんです。僕もモテたくて包丁握ったクチです。食べた事無いのにカルボナーラから勉強したクチです。

でも今現在、男性が料理するのって結構当たり前になってきましたよね。どれだけものぐさな男性でもレンジでパスタ茹でるくらいはできるし、レシピがそこかしこに転がっているせいで小学生でもパラパラのチャーハンが作れるんじゃないかって感じです。

今はもう誰でも当たり前に料理ができるんですよ。料理をする事は長所じゃなく、「当たり前」の技能になりつつあるんです。

そうなると「料理ができます」の意味だって変わってきます。少し前なら、男性は焼きそば野菜炒めチャーハンが作れるならそう宣言できました。でも今は違います。「料理ができます」と宣言した時、相手の頭の中にぽわわ~~んと浮かぶのは焼きそばや野菜炒めやチャーハンではありません。そこに登場するのはイタリアンとか和食とか健康レシピとか、かなりレベルアップしたものです。フライパンになんでもぶち込んで焼肉のタレで味付けしてどんぶりに盛るようなものは、もう料理とは呼ばれなくなったのです。

男の料理の立役者的ポジションは、マヨネーズと焼肉のタレから、クレイジーソルトとオリーブ油に移行しました。最近ではこういうの使って男性が料理したりするのを男子ごはんとか呼ぶらしいです。なんかメチャメチャモテたさそうな名前……。

さらに言えば、料理をする事が当たり前の技能になった今、普通の料理なら誰でも出来る事なんだから、どうせなら顔がカッコイイ男性の料理の方が美味しそうだという話も出てきます。誰でも出来る技能にたいして価値はありません。そうなると必然的に料理という行為自体ではなく、その行為者の質によってはじめてプラス得点が加算されるという事になります。これは僕みたいにモテたくて料理を始めたタイプの男性には大きな痛手となります。素人に毛が生えたレベルの料理テクを披露しても、そんなの誰でも出来るし、さらに顔がきもちわるい人間が作ったとなると料理自体にマイナス点がつきかねません。料理に罪はないのに。これは我々「顔がよくない料理男子」にとって死活問題です。

 

テレビでオリーブオイルを撒き散らす"彼"を眺めながら、そんなことを考えました。